「する」の失敗の次は「しない」
私の知り合いの女性は、夜更かしをやめたいと思っていました。
29歳、独身の彼女は独り暮らしで、誰かに合わせて早く寝る必要もありません。
毎朝起きるとぐったりしていましたが、重たい体を引きずるように出勤し、OLをしていました。
カフェイン入りのダイエットソーダで何とか一日乗り切ろうと頑張りますが、困ったことに会議中に思わずうとうとしてしまう事もあったようです。
夕方5時にもなれば、神経はすり切れてクタクタです。そのせいで、怒りっぽくなり、集中力もなくなって、ドライブスルーのファーストフードが無性に食べたくなるのでした。
そんな彼女がある日突然、何かをきっかけに変化がありました。
おそらく「こんなんじゃダメ」だと思ったんでしょう。
意志力のチャレンジとして、「もっと早く寝る事を心掛ける」ようにしました。
しかし、残念ながら翌週には続いていませんでした。
彼女はいつも夕食時には「今夜こそ早く寝よう」と思っているのに、夜11時頃にはそんな決心はすっかり忘れているらしいのです。
私は彼女に何をしているせいで早寝ができないのか聞いてみました。
すると彼女は、深夜になると「あれもこれもやっておかなければ」と思ってしまうそうです。
Facebookをチェックしたり、冷蔵庫を綺麗にしたり、大量の迷惑メールを整理したり、商品情報満載のネットショッピングを見たり・・・。
勿論、実際にはどれも急ぐ必要のない事ばかりなのに、なぜか深夜になると不思議とやる気になってしまいます。
そして、「あと1つだけやったら寝よう」と思いながら、ずるずるとハマってしまうのです。
そうやって寝るのが遅くなればなるほど彼女の疲労は増し、目の前の事をやりたい誘惑に負け続けてしまいます。
そこで、私は考えたのです。
「睡眠時間を増やす」という目標を「やらない力」のチャレンジとして設定し直したら、うまくいきました。
肝心なのは、早く寝る事を心掛けるよりも、起きてダラダラと色んな事をやり続けるのをやめる事でした。
彼女はルールを決め、夜11時を過ぎたらパソコンもテレビも消し、新しい事を始めないようにしました。
このルールこそ、自分がどんなに疲れているかを自覚し、夜12時までに寝る為に必要なものだったのです。
こうして毎晩7時間寝るようになると、ネットショッピングも、以前は深夜にやりたくなっていた色々な事が、魅力的には思えなくなりました。