6時間未満の睡眠が危険
睡眠時間が6時間未満の人は、もしかしたら意志力がみなぎっている感覚を思い出せないかもしれません。
また、感情をコントロールしたり、意識を集中させたり、「やる力」のチャレンジに取り組むのも難しくなります。
あなたも慢性の睡眠不足なら、1日の終わりにはがっくりと肩を落とし、なぜ誘惑に負けてしまったんだろう、どうしてやるべき事をちゃんとやれなかったのだろう、と後悔しているかもしれません。
そんな状態が続くと、屈辱や罪悪感に苛まれるようになります。
そんな時、大抵の人は「もっとしっかりしなくちゃ」と思うばかりで、「もっと寝なくちゃ」と思う人はほとんどいません。
なぜ睡眠が足りないと意志力が低下するのでしょうか?
まず第1に、睡眠不足の状態では体や脳の主要なエネルギー源であるグルコース(ブドウ糖)を使用する事ができません。
疲れていると、血液中のグルコースが細胞になかなか吸収されないのです。その為、細胞がエネルギー不足となり、疲労を感じます。
体や脳がエネルギーを欲しがる為、甘い物やコーヒーが飲みたくなります。
でも、糖分やコーヒーでいくらエネルギーを補給しても、それを効率良く使う事ができない為、体や脳は充分なエネルギーを摂る事ができません。
これは自己コントロールにとっては困った状態です。
脳が使用できるエネルギーはただでさえ限られているのに、自制心を発揮するには多くのエネルギーが必要だからです。
中でもとりわけエネルギーを消費する前頭前皮質は、このエネルギー危機の影響をもろに受けます。
この状態を「軽度の前頭前野機能障害」という病名が付く程です。
睡眠不足の状態で目を覚ますと、一時的に脳に障害を負ったような状態になります。
睡眠不足が脳に与える影響は、軽度の酩酊状態と同じです。これでは、自己コントロールなど到底望めません。
前頭前皮質に障害が起きると、脳の他の領域に対するコントロールが失われます。
通常であれば、前頭前皮質は脳の警報システムの過剰な働きを抑え、ストレスや欲求に対処しやすくします。
しかし一晩寝ないでいると、これら2つの脳の領域の連絡が途絶えてしまうのです。
歯止めの利かなくなった警報システムは、普通の日常的なストレスにも過敏に反応するようになります。
体が闘争・逃走反応の生理状態のままになり、その結果、ストレスホルモンのレベルが高くなり、自制が利かなくなってしまうのです。
しかし、幸いこの状態は元に戻す事ができます。
睡眠不足の人でも、ちゃんと睡眠をとった後は、脳をスキャンしても前頭前皮質のどこにも障害は見られなくなります。
それどころか、普段からよく寝ている人の脳と全く変わらない様に見えるほどです。
そんな訳で、意志力UPの為には、さっさと寝ましょう!!