第1のルール「相手を知る」
自己コントロールは人類ならではの素晴らしい能力の1つですが、人類の優れた特徴は自己コントロールだけではありません。
人間には自己認識(自分のしている事を認識すると共に、それを行う理由を理解する能力)も備わっています。
場合によっては、行動を起こす前に自分が何をしそうか予測できるので、よく考えてから行動する事も可能です。
このレベルの自己認識は、人間にしかできません。
イルカや像は鏡に映った自分の姿を認識しますが、自分自身を理解する為に心の中を見つめるという証拠は確認されていません。
自己認識無くしては、自己コントロールのシステムなど使い物になりません。
意志力を要する決断を下す時は、自分自身でしっかりとそれを認識していなければならないからです。
そうしなければ、脳はいつでも最も簡単な事を選択します。
例えば、「タバコをやめたい」と思っている人がいるとします。
この人はまず、自分がタバコを吸いたいと思う瞬間に気付き、どういう時に最も吸いたくなるのかを知る必要があります。
そして、吸いたい気持ちに今日も負けてしまったら、おそらく明日も負ける可能性が高くなる事にも気づかなければなりません。
このままでは、保険の授業で習った通り、様々な恐ろしい病気が待ち受けているのが分かるでしょう。
そんな悲惨な運命を免れるには「タバコを吸わない」という意識的な選択をする必要があります。
そういう事を自分で認識できなければ、運命は目に見えています。
自己認識などわけないと思うかも知れませんが、私たちはほとんどの選択を無意識に行っていて、なぜそうするかという理由などロクに認識してもいなければ、どういう結果を招くかなど考えもしません。
それどころか、選択をしている自覚すら無い事もしょっちゅうです。
ある研究では、参加者に「食べ物に関する決断を1日に何回くらい行っていると思いますか?」と尋ねたところ、実験における回答は、平均で14回でした。
しかし、今度は同じ人たちに実際に記録を取ってもらったところ、結果は平均で227回だったそうです。
つまり、この人たちは200回以上もの選択を無意識に行っていたことになります。
しかも、食べ物に関する選択だけでこれほどの数なのです。
ですから、コントロールすべき事を認識すらしていなかったら、自己コントロールなどできるはずがありません。
現代社会はただでさえ気が散るものや刺激に溢れているのですから、まったく困ってしまいます。
人は気が散っている時ほど誘惑に負けやすいです。
誰かの電話番号を思い出そうとしながらデザートを選んでいる学生は、フルーツよりもチョコレートを選ぶ確率が50%も高くなります。
また、上の空で買い物をしている人は店頭販売に引っかかりやすく、買い物リストに無いモノをごっそり買い込んで帰宅するハメになります。
考え事で頭がいっぱいになっていると、長期的な目標など忘れてしまい、衝動的な選択をしてしまいます。
コーヒーショップの列に並びながらLINEをしていたら?
いつの間にか、アイスコーヒーの代わりに、モカ・ミルクシェイクを注文してしまうかもしれません。
買い物中も仕事の事が頭から離れない?
そんな事だと、店員さんのお勧め通りに高い買い物をしてしまうかもしれません。
「選択した瞬間」を振り返る
自己コントロールを強化するには、まず自己認識力を高める必要があります。
なので、意志力のチャレンジに関する選択を行う時には、その事をはっきりと意識するのが大切です。
例えば、「仕事帰りにジムに行くか行かないか」といった単純な選択もあるでしょう。
でも、自分が何気なく行った選択の結果には、少し時間が経ってから気付く事もあります。
仕事の後、一旦帰宅しなくても済むように、朝ジムに行く準備をして家を出たでしょうか?(賢いですね。サボる言い訳をしにくくなります)
就業間際に長電話に捕まったせいでお腹がペコペコ、このままジムになんか行けない?(夕食を取ってからじゃ、なおさらジムには行かないでしょうね)
1日分でも良いので、その日に行った選択を振り返ってみて下さい。
1日の終わりに「自分がいつ目標を達成する為の選択、あるいは妨げてしまう選択をしたのか」を分析するようにしてみましょう。
この様に、自分の選択を振り返って意識する事で、いい加減な選択の数が減っていきます。
それにより、意志力は確実にUPします!!
無意識的な本能をうまく使うと人生うまくいくんですね!